「新しいMMT裏入門」本編第三回。(序論、第一回、第二回) 同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第六回も兼ねましょう。 予告した18世紀の力学における「力」概念と、現在のわたしたちの「マネー」概念の類似を語るその前に、今回はわたしたち自身の概念上の混乱を確認しておこうと思います。 ”fiat money” は「不換紙幣」? 概念の混乱がはっきり表れているものとして、英語で言う ”fiat money” を採り上げます。 この概念、MMTをはじめとしたマネーをめぐる議論でしばしばお目にかかるのですが、日本語にするのがむつかしい。 訳語としては多くの場合、おそらくは20世紀初頭からの伝統に従って「不換紙幣」と翻訳されるのですが、21世紀も四分の一が終わろうとしている現在においてはこの訳語が適切ではないというケースにしばしば出くわします。 まず money がこの場