一般に「恋愛とロマンス(俗語で執筆される読物)を最初に結びつけたのはルソー」とされる事が多いです。「世界初のラブロマンス」として名高い「ジュリまたは新エロイーズ( Julie ou la Nouvelle Héloïse、1761年)」を発表したせいですね。 *ただしその内容はあまりにも18世紀啓蒙主義的=百科全書派的。(普遍的世界観が未知の世界観によって転覆される可能性を抹消すべく)地上のあらゆる知識を網羅し尽くそうとする妄執が全編を覆い尽くしているせいで、現代人の再読に耐えない。当時はそれが良かったのだが… もちろんそれ以前より恋愛を扱った物語なら存在してました。アベ・プレヴォー「マノン・レスコー(Manon Lescaut、1731年 )」とか。そういう作品を望む根強いファン層も沢山いたのです。ルソーが巧みだったのはパッケージ戦略。有識者の間で根強い人気を誇るピエール・アベラール(P