近年、グローバルに注目されている環境問題の一つに、有機フッ素化合物(PFAS)による水質汚染があります。日本でも、PFASを含む泡消火剤の漏出事故や、日本各地の河川や地下水で基準値を超えるPFASの検出、高濃度地域周辺住民の血液検査の結果などがニュースに取り沙汰されています。 PFASの「F」はフッ素を示したものです。フッ素は特徴のある元素で、その高い有用性からこれまで幅広い産業で活用されてきました。また今後も用途によっては必要不可欠だと考えられます。生活を便利にするはずのPFASが今なぜ有害とされ騒がれているのでしょうか。この機会にフッ素について整理してみたいと思います。 かつて「水兵リーベ僕の船・・・」の語呂合わせで元素記号を覚えた方も多いかと思います。原子番号9のフッ素F。周期表の右上あたりにあり、最も電気陰性度が高く、他の元素と非常に反応しやすい一方、反応後、特に炭素とはC-F結合