今週のお題「夏うた」 我が家では腰高の窓にすだれを掛けてある。 北向きの窓であるので、陽ざしよけというよりは野性味にかける家猫が格子から身を乗り出して下を覗いた拍子に落ちないための工夫という意味合いの方が強い。 そんなすだれ越しの風景でも猫はずいぶん楽しいと見えて、気が付けば鼻先をこすりつけるようにしてちょこんと座っている後ろ姿が見受けられる。 日頃暮らしていて猫は大して視力がいいと思えないのであるが、果たしてあんなに細かなすだれの隙間から面白いものが見えているものか。 「何見てるのー」 風を通すためにドアを開け放ってある隣の部屋から行きがかりに声を張り上げて聞いてみるが、黒い背中はぴくりともせずに一人つくねんとする。 ほの暗いすだれを背景にじっと動かぬ猫というのは、思いのほか賢く見えるものだ。 ふと、何か哲学的な、あるいは禅的な、悠久にアクセスするような尊いことを今まさに考えているのじゃ