日本の古い民俗儀礼の中には、特定の日に神様とも化け物ともわからないような不気味な存在が現れて、日頃悪事を働いている人々を罰したり、家々の様子を見に来て災いを祓ったりするというものがある。 けれどおそらくもっと古くは、その化け物は単に災いを祓うという存在ではなく、そもそもそれ自体が災いであり、理不尽に子供をさらって食ったり、生贄を求めたり、家や土地に災いをなしたりするというような存在だったはずである。その災い自体を避けるために畏れ敬うことで、化け物はいつしか神格化され、現在のような民俗儀礼となって残存しているのだと思う。 東北地方のナマハゲなどは、そういったものの中でもよく知られる代表的なものであるが、古くはもっと禍々しく恐ろしいものだったに違いない。 日本だけではなく、そういった存在は他の国々にも多く存在する。自然環境や文化の違いから、一概に同種だとは言い切れないものもあるが、とにかくそう