前回(第1回 事業ポートフォリオの見直し)は事業ポートフォリオマネジメントにおける要諦をご説明した。続いて第2回ではポートフォリオマネジメントを活用した適切な事業撤退基準・ルールの設定において検討すべき事項を解説したうえで、事業撤退の見極めが遅れた事例および実際の事業撤退基準・ルールを定めている他社の事例について解説する。 1.ポートフォリオマネジメントの悪循環と好循環 ポートフォリオマネジメントは古くから議論されているが、事業撤退の見極めが遅れることで、結果的に企業価値の低下を招くという悪循環が日本企業において多くみられる。そのため、早期に見極めを行うことで、リスクを最小限にし、次の投資に使える経営資源を確保することが必要となる(図表1参照)。 2.適切な事業撤退基準・ルールの設定 ここでは、事業撤退の見極めが遅れる要因と照らし合わせながら、適切な事業撤退基準・ルールの設定に向けた対応に