2017年に37歳の若さでニューヨークタイムス(以下NYT)の発行人に就任したアーサー・グレッグ・サルツバーガー氏は、「NYTはデジタル展開をする新聞社なのか、新聞も出すデジタルメディアなのか」という質問にこう答えている。 すでに後者になったのだと思います。我々の取り組んだ重要な成果はまずデジタルで発表され、追って新聞でも掲載されます。オンラインの音声番組であるポッドキャストやVR(仮想現実)、動きのあるグラフィックなどに力を入れていますが、これらは紙媒体では展開できません。(朝日新聞デジタル『民主主義と新聞、NYタイムズ発行人が語る「危険な力」』2018年10月12日配信) この若きリーダーの言葉を待つまでもなく、この10年にニュースメディアに起った変化は著しい。ニュースはデジタルメディアでいち早く配信されるだけでなく、世界の新聞各社はその特質を充分に利用した記事の作成に力を注いできた。