「名もなき家事」。私は、そんな言葉があるとは知らなかった。そもそも、そんな家事があることも知らなかった。 私は38歳。妻も同じ会社に勤める共働き世帯だ。昨年9月に第1子が生まれたのを機に、育児休業と有給休暇を合わせて3カ月ほど休みを取った。夫婦ともに実家は遠い。出産直後から育児・家事を2人で担った。 子供が生まれる前から、家事はそれなりにしてきたつもりだった。しかし、泣きやまない子供を抱えての家事は、想像を超えていた。洗った食器も、取り込んだ洗濯物も、棚や引き出しにしまうのがわずらわしくなる。やがて見えてきたのは、妻がする「名もなき家事」にあぐらをかいてきた自分の姿だった。