大学で教えていたころ、「マイナー性を考える」という授業を持っていた。そのときに考えたマイナー性とは何か? まず、単なる少数派は、マイナーとは呼ばない。40人のクラスの中で、輪島を好きな人が30人、北の湖を好きな人が10人だったとして、北の湖好きをマイナーとは呼ばない。北の湖好きであるがゆえに、成績を低くつけられたり、クラスで無視されたりした場合に、「北の湖好きはマイナー」となる。つまり、メジャーの側から少数派が暴力や抑圧、差別などを受けた場合に、マイナーとメジャーの関係が発生する。マイナーとは、単なる数の問題ではなく、力関係の強弱の問題なのである。 そして、ここが重要なのだが、メジャーの側は自分たちを普通(標準)の存在だと思っているので、自分たちの行為が暴力や抑圧であることを認識できない。標準的な給与をもらっている正社員には、非正規雇用の人間が、「努力をしていない人間」にしか見えなかったり