20年以上も前の古い話だが、1986年2月11日は筆者にとって忘れられない思い出の日である。尾籠な話で恐縮だが、その日、中国の北京で、筆者は今にも漏れそうな強烈な下痢の便意に襲われたのである。泣きたい気持ちで便所を探し、ようやくたどり着いた公衆便所で尻を出して腰を下ろし、さあこれで大丈夫と安心したのだが、落ち着いて回りを見回した途端、今にも漏れると冷や汗をかいていた便意が突然に消え失せたのである。こんな経験は後にも先にも58年間の人生において最初で最後の経験であった。 1986年の中国正月“春節”は2月9日が元旦であったので、2月11日は日本流に言えば正月三が日の3日目であった。筆者は1985年5月に家族を日本に残して北京へ単身赴任したが、12月下旬に家族(妻と子供2人)が北京入りしたので、筆者も含めた家族全員にとって1986年の春節は中国で迎える最初の中国正月であった。と言っても、2月8
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