悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない――宮崎駿監督、映画哲学を語る(前編):“ポニョ”を作りながら考えていたこと(4/4 ページ) ユーゴスラビアの内戦が『紅の豚』のストーリーにも影響を与えた ――作品を作るときに、外国人でも共感できる要素を入れることは考慮していますか? 宮崎 実は何も分からないのです。私は自分の目の前にいる子どもたちに向かって映画を作ります。子どもたちが見えなくなってしまうときもあります。それで中年に向かって映画を作ってしまったりもします。 自分たちのアニメーションが成り立ったのは、日本の人口が1億を超えたからです。日本国内でペイラインに達する可能性を持つようになったからなのですが、国際化というのはボーナスみたいなもので、私たちにとっていつも考えなければならないのは、日本の社会であり、日本にいる子どもたちであり、周りの子どもたちです。それをもっと徹底すること