路上に一歩出ると、どこを向いても看板や標識だらけ。そこにあふれる個性的な文字は、東京人の内に秘めた情熱の表れだ 東京には文字が氾濫している。広告あり、標識あり、警告あり。どこに目を向けてもメッセージだらけだ。日本文化は静けさを尊ぶとされるが、東京の街は驚くほど騒々しい。 香港など他のアジアの都市にも派手な看板がひしめいているが、東京の特徴は文字の多さだ。実に多様な場所に掲示された、実に多様なメッセージ。それらは情報伝達の重要なインフラであり、東京という都市の顔でもある。 平均的な東京人が街で1日に目にする文字は、ロンドンなら図書館、ニューヨークなら新聞スタンドでなければ目にできないほどの量だ。ニューヨークやロンドンなど外国の都市にも、広告業者や落書きアーティストはいる。だが、公共の場は比較的静かだ。 それに比べて、東京の街は実に雄弁だ。東京で1日過ごせば、小説を1冊読んだのと同じくらいの言