☆「史上最強の酸」、合成さる いろいろと書きたいネタはたまっているのですが、今回は「今までで最も強い、単離可能な酸が合成された」というホットなトピックがあったので、これを取り上げてみましょう。 高校の化学では、「酸とは水素イオン(H+)を放出する能力のある物質のこと」と習います。そして弱酸の代表として酢酸や炭酸、強酸としては塩酸・硝酸・硫酸などの名を覚えたことと思います。しかしこれら酸の強弱というのは、いったい何で決まるのでしょうか? 一例として酢酸とエタノールを見てみましょう。エタノールは高校の化学では「中性」と習いますが、正確には極めて弱い酸と考えることが出来ます。 酢酸とエタノールの違いは、水酸基の隣にC=O二重結合(カルボニル基)がついていることです。二重結合の酸素は電子を自分の方に引っ張り込むために隣の水酸基のO-H結合が弱くなり、結果として水素イオンが外れやすくなるという理屈で