今、日本人技術者が海を渡りライバルのアジア企業へと流出する動きが加速している。韓国や台湾の企業に加え、中国企業がグローバルな人材獲得競争に本格的に乗り出してきたからだ。 その象徴は、中国最大の電機メーカー・ハイアールが今年末に日本で売り出す大型洗濯乾燥機。宣伝文句に「日本人技術者が作ったから品質は抜群」と謳っている。実際、洗濯機には、振動を抑える免震構造など、日本のメーカーが長い時間をかけて開発した技術がふんだんに盛り込まれているという。 一方、日本の各電機メーカーは円高による業績悪化を受けリストラを加速。去年から今年にかけ十数社であわせて1万人もの社員が退職を余儀なくされた。大手電機メーカーでプラズマテレビの企画をしていたある技術者は、「採算が合わない」と部門を廃止されたことをきっかけに早期退職。中国への転職を希望した。 しかし、そこに意外な壁が立ちはだかった。日本人の引き抜きで技術力が