本連載も500回目を迎えた。日本の財政状況は、主要7カ国(G7)の中で相変わらず突出して悪いものの、国内における財政再建・財政健全化の議論は低調なままである。 日本の財政という「自転車」は(少なくとも表面的には)安定した走りを続けており、バタンと倒れてしまうような兆候は、今のところ全くない。日本円や日本国債が財政面から金融市場で売りを浴びるような危機は、発生していない。 国の債務残高は非常に高い水準にあるものの、低金利で発行された国債がほとんどであることから、足元で長短金利が上昇しても、利払い費の増加度合いは限られている。物価高を受けて名目国内総生産(GDP)が膨らみ、これが税収増につながっていることにも、財政面の危機意識を薄れさせ、歳出抑制の手を緩めさせている面があるだろう。 財政健全化への関心薄れる? マスコミ報道で財政健全化が取り上げられる機会は近年、目立って減少した。全国紙5紙(読