「組織として個人として『先送り』を戦術として成功させる最大ポイントは、ロングスパンで練った戦略とほかにない独自の“武器”を持つことです」 そう語るのは元外交官の原田武夫氏である。外務省で北東アジア課(北朝鮮班長)などを歴任したキャリアから言えるのは、外交における真剣勝負の駆け引きには、ビジネスにも応用できる鉄則が数多く含まれているという。それを知れば、先送りを戦略として実行することができる。これは、やむをえずに先送りするのとはまったく異なるものなのだ。 先が読めないから先送りができない 「残念ながら、日本人は政治家にしろ、ビジネスマンにしろ、交渉のテーブルで先送りという行為をあまり戦術的には行使できません。一方、アメリカなどの国は巧みに先送り戦略を駆使して、関係する相手国を翻弄します」 具体的にどのような戦略を駆使しているのか。原田氏は自身が外交官として直接現場に臨んだ2004年の六カ国協