(藤原書店・4410円) ◇理性の斜面から挑んだフーリエ思想 二〇世紀を動かした原理はマルクスではなく、サン・シモンのそれであった。これが私の結論である。では、二十一世紀は? フーリエしかない。これが私の直感である。 だが、フーリエというのは、同時代のデューリングのような凡人には狂人としか映らない超絶思想家である。従ってフーリエを論じるなら、その奇矯(ききょう)な文章の真意(シニフィエ)を明晰(めいせき)な理性の篩(ふるい)にかけ、解読可能な情報を拾い出すか、あるいはその特異な文体、語彙(ごい)などの感覚的側面(シニフィアン)を詩や音楽として味わうかのいずれかしかない。バルト、ブルトン、クロソウスキーなどが試みたのは後者の方だが、本書はとりあえず、前者の方からフーリエに取り組もうとする。ロートレアモン研究の第一人者であり、難解なピエール・ブルデューの翻訳者である著者は断然「理性の人」だから
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