・ブラッド・メリディアン 現代アメリカ文学の巨匠コーマック・マッカーシーの長編。 アメリカ開拓時代、インディアン討伐隊に加わった少年が体験する無法と殺戮の旅路。 インディアンを殺して持ち帰った頭皮の数だけ、町から報奨金をもらうという契約を結んだならず者たちは、インディアンを見つけ次第に惨殺しながら荒野を前進していく。力だけがすべてのような世界で、「判事」と呼ばれる2メートル超の巨漢の男は哲学や科学の知識で信望を集める。しかし同時に判事は冷酷な殺戮者でもあり、邪魔なものはインディアンでも仲間でも容赦なく消していく。 少年がたどる荒野の旅路という点では『ロード』と同じなのだけれど、同行するのが息子をどこまでも守ろうとする父親ではなく、怪物的な判事であるという点が違う。このどこの判事なのか定かでない通称の「判事」は、ヨーロッパ的な知性の化けの皮をはがしたようなものとして描かれている。 「倫理とい