「助かった命ならあこがれの国で夢をかなえよう」。昨年5月の中国・四川大地震で被災した後、そんな思いを胸に秘めて来日した中国人男性がいる。兵庫県尼崎市の日本語学校に通う留学生の●(=登におおざと)鵬さん(23)。幼いころに見て感動した日本のアニメの制作技術を学ぶため、大学院進学を目指す日々だ。「日本語が上達したら阪神大震災の被災者とも交流したい」。アニメを介した日本との“縁”は今、被災体験を通じた国際交流という新たな夢もはぐくんでいる。 ●(=登におおざと)さんは四川省生まれ。小学生のころ、現地のテレビ放送で「ドラえもん」「スラムダンク」などの日本のアニメに出合った。色鮮やかで繊細な映像美に魅せられ、日本の文化に興味を抱いた。高校卒業後には同省成都市の電子科技大に入学し、アニメ制作の基礎となるソフトウエアデザインを専攻した。 被災したのは大学4年の時。昼過ぎ、大学の寮でくつろいでいた際に激震