コロナ禍で医療者にも広がる「隠れ優生思想」「高齢者がコロナで死ぬのは寿命だ」「高齢者に人工呼吸器を使うから不足する」——。コロナ禍で医療者からさえも優生思想を思わせる発信が目立ちました。この「隠れ優生思想」にどう抗うか。緩和ケア医の大津秀一さんが考えます。 「優生思想」とは、身体的、精神的に優良な者の遺伝子を保ち、逆に劣っている人は排除して、強く優秀な人類を次世代に残そうとする思想のことを指す。 この思想は、身体的あるいは精神的に劣った者、弱い者は、淘汰されても仕方ないという考えにつながる。 例えば過去には、2016年に神奈川県の知的障害者施設で起きた相模原事件で、犯人の男が「障害者は不幸を作ることしかできません」などと殺傷の動機を明かして話題になることはあった。 実は、この2年半あまりのコロナ禍において、この命を選別する思想の広がりを強く感じさせる発信がおびただしく見られた。それは一般の