選挙戦もいよいよ佳境。「政治のことはよくわからないし、少し口に出しただけでも怖い人たちが噛みついてくるから……」と普段は無関心であるものの、選挙期間中はそうもいかない。外に出れば選挙カーが走りまわっているし、駅前はどこも街頭演説で賑やかだ。 でも正直に言って、僕は選挙が嫌いだ。スピーカーによる選挙活動はそういうものだと理解しているし、イヤホンで耳を塞げば済む話ではある。けれど、とても論理的には聞こえない他者への非難や、感情的に罵詈雑言を叫ぶ支持者の声を聞いていると、なんだか気が滅入ってくる。ダルい。 それゆえに、投票先は決まって無難な候補になる。政策や思想信条で選ぶのではなく、「選挙活動を目にして、あるいは耳にして、不快に感じなかった人」という消去法。いちいち個々の政策を比較検討するほどには関心を持てず、そもそも考慮する知識がない。 結果として、「周囲を貶めず、それでいて(一見すると)真っ