「今年に入り勤労者の賃金は大幅に増えた」との結果が出ている厚生労働省の賃金調査を巡り、調査の信用性を疑問視する見方が広がっている。一月からは、中小企業より給料が高い会社が多い大企業の金額をより多く反映させているのに、その影響を考慮せず、伸び率を算出しているからだ。「給与の推移を正確に把握できない」との批判は根強く、政府の有識者委員会は今月中に見直しの是非を含めた議論を始める。 問題になっているのは民間企業の賃金などを調べる「毎月勤労統計調査」。二十一日に公表された七月の確報値では、給料・ボーナスや手当を含めた「現金給与総額」が前年同月に比べ1・6%増えた。六月は3・3%増と二十一年五カ月ぶりの高い伸びとなった。 毎月勤労統計は一定数の企業を無作為に選び賃金などを聞き取るサンプル調査。この方法だと対象になった大企業や中小企業の割合は、世の中の実態との誤差が生じるため、総務省が数年ごとに全企業