前回記事(ユニクロの世界同一賃金と日本の総ブラック化)で説明した「サービス業の世界同一賃金化がナンセンスな理由」を数値例を用いて再説明します。 まず、産業を貿易可能でグローバル市場が成立している貿易財産業(ここでは製造業)と貿易不能でローカル市場に分断されている非貿易財産業(ここではサービス業)に二分します。また、世界の国々を、製造業の生産性が高い先進国と低い途上国に二分します。先進国の製造業の生産性(労働者1人当たりの生産量)は途上国の10倍とします。 ポイントは、製造業ではグローバル市場が成立しているが、サービス業では成立していないことです。先進国と途上国の価格と賃金は次のように決まります。 グローバル市場では価格は均等化する(一物一価の法則)→貿易財価格は先進国と途上国で等しくなる(ここでは1とする)。 製造業の賃金は、貿易財1単位当たり(単位労働コスト)が等しくなる水準に決まる→先