NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、初回から4週連続で主人公の幼少期が描かれる。子役の登場回数がここまで多いのは、近年の大河では珍しい。子役の新井美羽ちゃん(10才)演じる「おとわ(井伊直虎)」の毅然とした振る舞いからは、領主の娘として生きる自負が伝わってくる。のちに井伊家を背負って「おんな城主」となる決断を予想させる熱演だ。 ところで昨年12月、大河ドラマの筋書きに影響を与えるような発見があったのをご存じだろうか? 井伊家の史料を収集する井伊美術館(京都市東山区)が新たに確認した文献史料を公表し、「直虎を名乗ったのは女性ではなく、いとこにあたる別の男性だった可能性がある」と発表したのだ。「直虎」の時代考証を担当する静岡大名誉教授の小和田哲男氏に、見解をうかがってみた。 はじめに通説をおさらいしておくと、「直虎=おんな城主」のベースとなっているのは、井伊谷城主・井伊直盛の娘が出家し