今年4月に発覚した東芝の「不適切会計」問題は次々と新事実が明るみに出て、当初は500億円とされていた額が2000億円にまで膨れ上がった。 社員たちはなぜ、巨額の“粉飾”に手を染めたのか。その背景として指摘されているのが、社内の激しい人事抗争だ。社長の出身母体が、パソコンや家電などの「家電系(弱電)」と、原子力などの「インフラ系(重電)」で交互に入れ替わり、その都度、社内の主流派閥も替わっていた。 加えて東芝の“伝統”がトップの抗争に拍車を掛け、話をややこしくしている。経団連会長を巡る争いだ。 過去、東芝は石坂泰三氏、土光敏夫氏という2人の経団連会長を輩出した。経団連の会長になるには、現役の社長か会長であることが必須条件だ。西田厚聰氏(現相談役・家電系)も2009年に東芝会長、経団連副会長に就任して、「財界総理」の有力候補と目されていた時期があった。 ところが“壁”となったのが西田氏の前任の