2010 年度 日本語教育学会 実践研究フォーラム 講演 「どのように教育実践を記述・分析するか」 (スライドの配付資料への補足資料) 名古屋大学 大谷 尚 1.はじめに 筆者に課せられた課題は,質的研究と質的データ分析について,日本語教育の実践研究に関わって紹介するこ とであると認識している.その全体は,スライドおよびその配付資料に示している. ここでは,日本語教育の実践研究を有益で優れたものにするために,筆者がもっとも重要だと感じている点に ついて,スライドに示した内容をさらに詳しく記すことにする. 2.実践家の行う質的研究に共通する特性 1)研究者=実践家 筆者は近年,医学教育などの医療者教育に関わっており,大学院の指導生や大学院ゼミの参加者には,医師4 名,看護士1名,薬剤師2名,臨床心理士1名が含まれている.そのため医療系の質的研究の論文を読むことが 多い.それらを通して,医療