『BLIND』9-6 二人は話した。 柄が白黒反対のシマウマの突然変異が生まれても誰も気づかないのではないか、と二人は言って笑った。 教科書の誰に落書きをしたかと徹は言い出し、自分たちを含めて人はなぜチンギス・ハーンの顔の絵に何か付け足してしまうのかを美和と話しあった。 白封筒の糊づけがうまくいった時の満足感が他の何とも違うと美和は話し、徹は糊づけのあとに〆(日本独特の封緘の記号)を書く時が特別だと言った。 大根の辛さが苦手で自分は子供っぽい味覚を持っているのではないかと徹は話し、美和は自分はピーマンが苦いと思うと話した。 初恋は二人とも中学生の時にしていて、どちらもしごく恥ずかしい顛末だったと告白しあった。 月を見るのが好きだと意見が合い、仕事の帰りに駅までの道を首が疲れるほど見上げて過ごすことがあると徹が言うと、そんなに月がよく見えるところに勤めているのかと美和は確かめるように言った。