一般財団法人地域公共交通総合研究所の設立にあたっての所感 加藤 博和 地域公共交通の存在が少子高齢化や地球環境問題などの観点から重要視されつつあるにもかかわらず、その運営が危機的な状況に陥っている日本においては、立て直しのために自治体・地域住民・交通事業者が当事者意識を共有し、存在意義を問い直し、三位一体で「現場」起点で改善を進める体制の確立が急務である。 その条件として、地域公共交通を収益事業として長年展開してきた交通事業者が、不採算の公益事業となった今そのノウハウや経営資源を再整備し、持続可能な地域コミュニティをつくり出す装置となりうる新たな地域公共交通の担い手に生まれ変わらなければならない。ただし現状では事業者に余力がなく、国や研究機関による支援、そして抜本的な制度改革も合わせて求められる。 地域公共交通プロジェクトは極めて泥臭く、また地域特性に大きく左右され、杓子定規では到底改革で