著者(高橋洋一・内閣参事官)とは、十数年前に財投改革についての番組で取材したとき以来のつきあいだ。当時は大蔵省理財局の企画室長だったが、「霞ヶ関の金正日」とよばれる(顔が似ているだけ)名物男で、「財投300兆円を動かす世界最大のファンドマネジャー」と本人も豪語していた。話がとても官僚とは思えないぐらいおもしろいので、インタビューしようとしたら、理財局長に止められた。著者は大蔵省の公式見解なんか屁とも思っていないので、何をいうかわからないからだ。 経済学界でも彼は「洋ちゃん」として有名で、NIFTYでもQuarkというハンドルネームで、経済フォーラムなどで財投批判に反論したり、ケインズ政策を否定したりしていた。私とは意見がほとんど一致して、「リチャード・クーは経済学の学位もとれなかった落第生だ」などと言っていた。当時は「構造改革」派だったが、最近は恩師バーナンキやクルーグマンの影響で「イン