「僕らは楽しむことをおろそかにしない」 2008年に初来日したシモン・ボリバル交響楽団の「アンコール」風景を、Youtubeで見たのが始まりでした。曲目は「『ウエスト・サイド・ストーリー』からのシンフォニック・ダンス」(レナード・バーンスタイン)でおなじみの「マンボ」――。 チェロが左右に大きく揺れ、管楽器は高々と掲げられ、ティンパニのマレットが宙を舞い、バイオリン奏者たちは立ち上がって弾いている――楽団員たちが実に楽しげに、ラテンのリズムに乗って、踊りながら演奏しているのです。そして、決めどころにさしかかると、総立ちになって一斉に叫びます。 「マンボ!」 「ノリノリのアンコール」とタイトルがついていましたが、まさにその通り。クラシック界の常識をブッ飛ばす、爆発的なエネルギーに目を見張りました。「気がついたら泣いていた」という感想も、その後たくさん聞きました。 本書によれば、20