『ある晴れた夏の朝』(小手鞠るい/偕成社) 1945年8月6日、広島にウラニウム型原子爆弾「リトルボーイ」投下。同年8月9日、長崎にプルトニウム型原子爆弾「ファットマン」投下。同年8月15日、日本はポツダム宣言を受け入れて無条件降伏し、太平洋戦争は終結した。 アメリカの2発の原爆投下によって多くの日本人が亡くなった。その死者数は1945年の1年間に限っても、広島で約14万人、長崎で約9万人とされている。どちらの街でも死者の大半は戦時下でつましい日々を送っていた一般市民だった。この悲劇を生み出した原爆投下を「正しかった」と肯定する日本人は少ないはずだ。しかし、アメリカでは多くの学校で「原爆投下は、戦争を終わらせるために必要だった」と教えられているという。その原爆に対する認識の隔たりは簡単には埋まるものではないだろう。小手鞠るいの新刊『ある晴れた夏の朝』(偕成社)は、そんな“原爆”に対する認識