神戸の貿易商の家に生まれ、イギリス・ケンブリッジ大学を卒業。 180cmを超える長身で日本人離れした端整な顔だち――これだけならば“軟弱なお坊ちゃま”と言われても仕方がないが、この人物は太平洋戦争終結から半年も経たない昭和20年のクリスマスに、GHQ司令長官であるダグラス・マッカーサーをどなりつけた、という逸話を持つ。 その名は、白州次郎。 2009年にはNHKのドラマスペシャルで取り上げられ、俳優・伊勢谷友介が白洲役を演じ話題となった人物である。 関連する書籍が多数出版されるなど現代に名を残す男だ。 終戦で全てを失った日本は、GHQによって占領統治された。 主権を失い、誇りも失いかけていた日本人が多いなか、戦後日本の再建に向けて、当時外務大臣を務めていた吉田茂が白洲を呼び付け、GHQとの交渉窓口を努めるように命じたのだ。 交渉相手への、教養ある返答 白洲が常々口にし、己の行動指針として重