2005−06シーズンまで現役選手としてエスパニョルのユニホームに身を包んでいた男は、それから2年半後の09年1月、危機的状況に陥ったチームを救うべく、監督として戻ってきた。マウリシオ・ポチェッティーノ――アルゼンチン出身の若き指揮官は、降格圏に低迷していたエスパニョルを生き返らせた。最後の10試合を8勝1分け1敗という驚異的な成績で終え、10位にまで順位を上げたのだ。 さらなる飛躍を目指し、エスパニョルは中村俊輔(前セルティック)、ベン・サハル(前チェルシー)、ジョアン・ベルドゥ(前デポルティボ)ら新戦力を補強。しかし、新シーズンに向けて始動していた09年8月、エスパニョルを悲劇が襲った。チームの要であり、今季からキャプテンに就任したばかりのダニエル・ハルケが急性心筋梗塞で急逝したのだ。選手たちに動揺が走る中、09−10シーズンが開幕。ポチェッティーノはそこから一歩ずつチームを立て直し