稲盛和夫は疑いも無くカリスマである。その行動を見ると、度胸があり大胆である。しかし矛盾しているように思えるかもしれないが、「怖がり屋」の一面がある。経営者として成功を重ねられたのは、恐れを知る大胆さによるのではないか。 「経営は、のたうつものである」と稲盛は言っている。企業を経営すれば、もがき苦しむのは当たり前で、安直に業績を伸ばす方法はないというのである。 しかし異論もあるだろう。ファインセラミックスという有望な新技術をいち早く確立したから、京セラは驚異的な成長を遂げた。第二電電(現KDDI)も通信自由化の波に乗ったおかげで、うまくいった。日本航空の再建も、会社更生法によって銀行からの債務の大幅カットや不採算路線からの撤退などができたからである。稲盛でなければ、できなかったのか。 こうした見方にも一理ある。ただし、すべて後講釈にすぎない。何事も結果だけを見れば、簡単にできそうに思えるもの
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