「17歳」を撮りためた写真集がある。旅をし、偶然出会ったひとたちのポートレイトを、暮らしている風景の中で撮る。撮影の条件は、17歳であること。ほかには何もない。 声をかけられた人たちは、「なぜ、わたしなんですか?」「どうして僕?」と理由を求める。しかし、写真家は「これも何かの縁だから」と答えるだけ。「誰でもいい」というわけだ。けれども、あえて「選ばない」という姿勢は、強靭な選択のうえに成り立っていることが、写真集を見るとわかる。 一枚一枚の肖像写真は、風景を背景にしているだけだ。すべて生活圏のなか。団地であったり、線路脇であったり、商店街、堤防沿いであったり田んぼの中であったり、とまわりは平凡なものだ。しかし、殺風景ではない。 写っている人たちも、よぉく見ると、ちょっと、へんな顔をしている。チャーミングなのだ。 見開きの右ページに設けられた共通の質問と、モノローグのインタビューを読むと、い
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