「フェアトレード」と聞くと、ほとんどの人はポジティブで倫理的な印象を受けるだろう。フェアトレードとは発展途上国でつくられた作物や製品を、適正な価格で継続的に購入することで途上国の自立や労働者たちの生活改善を目指す運動のことだ。身近な国際貢献、地球にやさしい、格差是正など、多少割高になるがフェアトレードの商品を買うことで、消費者は「良いことをしたような感じ」になれる。 でも、本当にフェアトレードは「良いこと」だといえるのだろうか? 強者と弱者の格差が広がり続ける資本主義という経済システムの中で、生産者が幸福になれて、流通や小売などの企業も利益を上げられて、消費者もいい思いをするようなことは本当に可能なのかという疑問はぬぐえない。 フェアトレード商品を買う消費者が増える一方で、フェアトレードに切り替える企業も増えている。特に『フェアトレードのおかしな真実』(松本裕/訳、英治出版/刊)の著者でジ