最近、所得格差に関する議論が沸き起こっている。市場化の進展が所得格差を拡大させたと指摘する人は少なくない。格差問題の解決を政府に求める声も絶えない。いっそ所得分配が政府によって行われていた計画経済の時代に逆戻りしたほうが良いではないかというような雰囲気さえ感じられる。市場化改革にはいったいどのような問題が生じたのだろうか。 経済の市場化は中国にどのような影響を与えたのか。総合的にみて、市場化改革は国民の生活水準を高めた一方で、かつてないほどの所得格差をももたらした。 市場化が人々の生活を質と量とともに向上させ、物質的に大変豊かな生活を実現させたことは、誰の目にも明らかである。消費水準の急速な上昇によって、かつての自転車・腕時計・ラジカセという「三種の神器」は、カラーテレビ・冷蔵庫・洗濯機へと変わった。さらに、現在では携帯電話・自家用車・マイホームの普及率も大幅に上昇している。かつては食糧、