「また増田くんにやられた」 そう呟き、悲しみに打ちひしがれながら帰路についたのは2月の寒い日だった。 この日の対局は第34期竜王戦3組ランキング戦2回戦で、勝てば準決勝に進出して決勝トーナメント入りが近づき、昇級まであと1勝となる一番だった。 増田康宏六段には、前期の竜王戦でも負かされて昇級への道を絶たれており、この年度だけで3戦3敗と散々な目に遭った。 この1年はとにかく若手に勝てなかった。前週には、順位戦で新四段(石川優太四段)に負けて昇級争いから脱落していた。 筆者の立ち位置からして、若手に勝てなければ上には行けない。上に行けなければ、下に行くよりなくなる。だからこそ若手に勝ちたいのだ。 負けると「裏街道」、初戦で降級をかけて戦うことに ここで、タイトル戦の序列1位である竜王戦の仕組みを簡単に紹介しよう。 1~6組に分かれてトーナメント戦を行い、各組の優勝者と1組5位までと2組2位が
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