彼とは付き合っていないけれど、セックスしなきゃ良かったなんて1mmも思っていない むしろやって良かったと心から思っている あの狭い布団の上で24時間、確かに私たちはたった二人きりだった 外が暗くなろうが明るくなろうが遮光カーテンは何物も通さなかった 彼の伸びかけの髭も綺麗な頬も高い眉骨も香水とボディソープのにおいも、全部全部私の物だと思った だっていくらそれに触れてもキスしても誰にも咎められなかったんだもん このまま彼を齧って食べてしまって、その後私も死んじゃおうかなんて考えた ただ、彼が無条件に優しい言葉をかけ、ふやけた顔で私を見つめ、 彼の隣には私がいなきゃダメなんだと思わされていたのは、隣に寝ていたあの24時間だけだった その後ご飯を食べに行くと、彼はいつものように、私には一瞬たりとも触れていませんという涼しい顔で、私との距離を保っていた 一回寝ただけで恋人面するのは女の最大の悪癖だ