弦楽器の奏でる音は、弦の張力に加え、太さ、長さによって異なる。これは、ピアノやパイプオルガンのような鍵盤楽器でも、マリンバや木琴・鉄琴のような旋律打楽器でも、フルート・クラリネット・トランペットのような管楽器でも同様で、部材の太さや長さは音の高低を決定する重要な要素となる。また、忘れてはならないのが、楽器の素材である。材質が異なれば、やはり音の高低や音色に変化をもたらす。 楽器のそんな性質を利用して、医療の現場が変わろうとしている。カリフォルニア大学リバーサイド校のボーンズ・カレッジ・オブ・エンジニアリング(BCOE)で助教授を務めるウィリアム・グローバー博士は、昨年9月12日、楽器によって生み出される音の周波数が楽器の物理的な特性によって決まってくる性質を利用して、数ある医薬品のなかに紛れ込んだ偽造薬や不良医薬品を簡単に見つけ出すセンサーを開発し、オンライン学術雑誌「ACS Omega」