ごめん、急に電話して。いや、暇だから取ったので、かまわないんだけど、どうしたの、宗教、もの売り、それとも失恋? なにそれ。なにって、たいして親しくもない元同級生に電話をかける三大理由、人々に伝えたいすばらしい教えがあるか、人々に参画してもらいたいすばらしいビジネスがあるか、彼女や奥さんと別れてアドレス帳に残っている女という女の名前に手当たり次第電話してるか。すげえな、当たってる。何番目。三番目。三番目か、ろくでもないね。なんでだよ、商売と宗教よりいいじゃん。よくないよ、商売と宗教にはね、良きものを人々にすすめようという善意、あるいは、自分が得をしようというアグレッシブな熱意がある、けれども、失恋の場合、空いた穴をもてあましているだけで、当然私のことなんかべつに好きじゃないし、むしろ、どうでもいいからこそ、かける、どう、いちばんろくでもないでしょう。 言われてみれば、そうかも。そうでしょう、