国立天文台は防衛装備庁の研究費に応募するのか 研究費不足を安全保障技術研究推進制度で補うべきではない 須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学) 2019年3月15日、日本天文学会は「天文学と安全保障との関わりについて」という声明を公表した。そこには「日本天文学会は、宇宙・天文に関する真理の探究を目的として設立されたものであり、人類の安全や平和を脅かすことにつながる研究や活動は行わない」と述べられている。この声明公表に至る日本天文学会内での議論の経緯はすでに紹介した。 2017年3月24日に、日本学術会議が公表した声明「軍事的安全保障研究について」に対応して、学会が全体として真摯な議論に取り組んだのは、私が知る限り日本天文学会だけである。声明のとりまとめという結果よりも、できることなら避けて過ごしたいと思うような本質的な問題に正面から向き合ったことこそ、評価されてしかるべきだと考える。 巨大化する