最近、新聞紙上に反物質(または反粒子)の話題が何回か現れた。それらは、ヨーロッパの研究所で反物質を人工的に作ったというニュース(この実験には日本人の研究者が関係している)と、日米それぞれの研究所で、粒子と反粒子の壊れ易さの違いを見つける実験をしているというニュースである。私の本職はこの後者の実験に関係しているので、これを機会に反物質の話を書いてみたいと思う。しかし、私は「銀河鉄道」で素粒子物理学の話をあまり書きたいと思わない。やはり天文同好会であるから「宇宙に反物質があるか」という問題に絞り、素粒子関係の話は最低限にとどめるつもりである。 地球上にある物質は、すべて「原子」からできている。原子は、「原子核」と「電子」からできている。原子核は、「陽子」と「中性子」からできている。だから、地球上の「物質」は、すべて「電子」、「陽子」、「中性子」のどれかが複数個集まってできたものである。これを物