<Intro> アロマキャンドルやジャガイモを見かけるたびに、ヒョンビンのあの涙の滲むようなやさしさを思い出し、胸がいっぱいになってしまうのです。これが世に言う『愛の不時着』ロスというやつなのか。世界中で大ヒットを飛ばし、日本においてもNetflix視聴ランキング1位を独占し続けている『愛の不時着』にご多分に漏れずハマってしまった。テレビドラマの登場人物に想いを馳せるというこの感覚はいつ以来のことだろうか。主演陣はもちろんのこと脇役(あの愛すべき第5中隊と舎宅村の人々!)まで、誰もが好きにならずにはいられない人物造形の妙。全編を貫く“結ばれてはいけない2人”という哀しみのトーンを、絶妙に和らげる機知とユーモア。「帰りたい/帰りたくない」という二律背反の感情をベースにしたシンプルなドラマメイクで人間の複雑な感情を描き切る手腕にも脱帽だ。このドラマにおいては稀代の詐欺師すらやさしい気遣いを見せ