中東・北アフリカを中心に巻き起こる動乱ドミノ。しかし、世界の政変には「食」が大きくそして深く関わってきたと国際政治経済学者の浜田和幸氏は指摘する。 * * * チュニジアやエジプトで民衆暴動が起き、独裁者のベンアリ大統領とムバラク大統領が失脚すると、当初、多くのメディアは“ソーシャルネット革命”などと呼び、独裁体制に不満を抱いた民衆が蜂起し、情報技術が民主化運動を加速させたともてはやした。 しかし、反政府デモがアルジェリア、イエメン、イラン、リビア、バーレーンなど、アフリカや中東の諸国へ次々に飛び火していくと、別に大きな要因があることに誰もが気づいた。独裁政権の打倒を掲げていたとしても、背景には食糧の高騰があり、それが直接的な引き金になっていたのである。 チュニジアもエジプトも主食の原料である小麦を輸入に頼る国で、前者の輸入依存度は83%、後者は69%である。そこへ世界的な食糧価格