腸内には数百兆単位の菌たちが生息し、ヒトの健康を左右する重要な役割を果たしている。――今回インタビューにご登場いただく光岡知足氏は、こうした腸内細菌とヒトの健康の関わりについて研究してきたパイオニアであり、この分野の世界的な権威の一人。よく知られている「善玉菌」「悪玉菌」といったネーミングも氏が命名したものであり、腸内環境と食事、健康とのつながりの多くも、氏の長年にわたる研究のなかで明らかにされてきました。目に見えない菌たちとどうつきあうか? 健康に生きていくことはもちろん、周囲と調和し、心地よく生きていくには、何が心がけていけばいいのか? 今回は、光岡氏の研究の一端をひもときながら、菌たちとの関わりのなかで見えてきた生命哲学についてたっぷりと語っていただきました。 ■大事なのはバランス。善玉菌が多ければいいわけではない ――先生が研究を始められたのは、東京大学の大学院に入られた1953(