DBS治療は「しなければいけない」治療ではありません。ただ、上手に使えばパーキンソン病で失いつつある人生の一部を取り戻す手助けになります。STN-DBS、GPi-DBSのどちらであっても、いったん導入すればオフやジスキネジアは大きく軽減し、多くの患者さんでDBS導入以前のひどい症状変動からほぼ永続的に解放されます。 DBSを導入するかどうか、どういうタイミングで導入するかは人生観の問題といえます。50歳で発症した患者さんをモデルケースとして考えてみましょう。薬治療を継続しても、55歳からオフ症状が出現したとして、60歳ぐらいで働けなくなって64歳ぐらいから一部介助が必要になり、70歳前から全介助になっています。この患者さんが進行してからDBSを導入すると全介助になる時期は5、6年程度遅らせることができます。ただ、DBS後に一旦生活が自立するものの、すぐ部分介助は必要になってしまいます。もう