人はみな、オムツに始まり、オムツに終わる。生や死は、ウンチ・オシッコとともにある。本書を読み終えた直後、トイレで用をたしながらそう思った。 先月、出産直後の知人の女性がブログにオムツ洗いの雑感を書いていた。 「今日気づいた…。このうんちのしみたちったら、なんてファンタスティック。白地に、日々変わる模様。ひとつとして、同じものはない。(中略)そう、生きることが、アート」 布オムツの黄色い物体は、まるでオブジェ。ウンチ君は、生の象徴だったんだ。手洗い仕事中に、ふと生きることの神髄に触れ、若い母親は幸福感に包まれた。 しかし、それは寝たきりの親や高齢者のそれとは似て非なる、我が子のかわいいウンチ君だからに違いない。 本邦初のハイテク介護ベッド誕生 本書は、ファンタスティックでも、アートでもない、純然たる排泄物としてのウンチ君やオシッコ君を巡る「ある商品」の開発物語である。それも開発期間が22年と