一方、大手アパレル企業には、OEMメーカーに企画、生産を丸投げするところが出てくる。品質の差は、見る間に縮んだ。 「'90年代に入るまでは、百貨店のブランド服と低価格帯の服には圧倒的な見た目の差がありました。スーパーで買ったジーンズを穿いた後に、7000円のリーバイスを穿くと、そのカッコよさに感動したものです。 しかし、いまや低価格のブランドと、百貨店の服は、値段の差の割には品質の差が小さい。それで百貨店ブランドの服が売れ続けるほうがおかしいと思います」(前出・南氏) アパレルがとった「コストカット」の道は、現在、おそるべき段階にまで行きついている。アパレル社員が嘆く。 「現在の『丸投げ』ぶりは尋常ではありません。社員がOEMメーカーを訪れ、『ウチのブランドに合うデザインを、来週までに20パターン作ってきて。その中から5つを選んで出すので』と言い残して去ることもある。もちろんそうして作られ