(2012年6月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ギリシャ・アテネの小さな医療機器販売会社メディカル・サービス・リミテッド。従業員に給料を払えない状態に陥っている同社に先週、ある市立病院から心電図モニターを1台買いたいという注文が舞い込んだ。 有り難い話であるはずだが、同社の共同創業者ヤニス・スタモス氏は考えた末に、この注文を辞退した。 誰も代金を払わず、何もかもが凍り付いた世界 もしこれに応じたら、同社は3万5000ユーロするこの機械を自己資金で仕入れなければならない。ギリシャの銀行は融資をストップしており、機械を卸してくれるドイツの企業は現金での先払いを要求しているからだ。 仮にこの先払いができたとしても、メディカル・サービス社は数千ユーロの売上税を1カ月以内に政府に納めなければならない。そして、納入先の病院が代金を払ってくれるのはずっと先の話だ。 「本当にひどい状況だ」とスタ